2020年04月22日

「ぱいどん」前後編を読んだ感想

説明


”AIと人間が協働で「漫画の神様・手塚治虫」に挑む「TEZUKA2020」の新作漫画「ぱいどん」”

paidon.jpg

 人工知能AIに、漫画の神様 手塚治虫の漫画を描かせたらどうなるのか?
 その結果が漫画「ぱいどん」としてお目見えした。
   ↓
(公式サイト) https://tezuka2020.kioxia.com/ja-jp/index.html
(漫画) https://tezuka2020.kioxia.com/ja-jp/future/

ニュース番組で特集された

 テレビのニュース番組でこの「ぱいどん」のことが取り上げられた時、番組内で往年の手塚ファンが、「(ぱいどんは)手塚の未発表の作品が出てきたと発表されても信じるレベル(の高さ)」といった内容のコメントをしていた。
(正確な言い回しは覚えていないがこんな感じのことを言っていた)

 私はこのコメントに非常に興味を覚えた。

 絵を真似るだけならAIならそれなりに出来るだろうが、果たして手塚らしい内容(ストーリー、読後感)がAIに表現できるのだろうか?

 遅ればせながら私もその漫画を読んでみた。その感想を書いてみる。

感想


 「ぱいどん」は、ストーリー、キャラクター、描き方、この3つをAIに学習させて手塚治虫らしさを出した漫画らしい。

 さっそく読んでみた。(https://tezuka2020.kioxia.com/ja-jp/future/

 22ページと短いのですぐ読み終えた。そしてその感想は・・・、

・・・「手塚治虫の絵柄や特徴を真似た、全くの別人が描いた漫画

・・・それが私の率直な感想だ。

 部分的には手塚っぽいだが、本質的な所が違う気がする。

絵柄

 まず絵柄。これはいかにも手塚治虫らしさが出ている。確かに「手塚の遺作」とか言われたら信じてしまいそうな出来だと思う。

 描くライン(線)も手塚らしさを出すために工夫している。
(ちなみに、手塚の描くラインは、全盛期と後年でけっこう違う)

キャラクター

 キャラクターの見た目も手塚らしさがよく出ている。良いと思う。

ストーリー

 ストーリーのごく一部(細部)や結末に、「手塚とはなんだか違うなぁ・・・」と感じた。

 まず細かいところから。
 主人公のぱいどんがイナゴをエックス線?でズームして解析するシーンなどいくつか近未来の技術を駆使する場面が登場したが、なんだか具体的過ぎる気がした。
 手塚治虫の作品って良くも悪くももっとその辺の専門的な科学技術については大雑把だった気がする。
 手塚作品に限らず昔の漫画やアニメ作品自体が、そんなに詳細にわたって科学技術的なものを描かずにもっと大雑把だった気がする。
 それが小さな違和感(手塚らしくなさ)を感じた。

 そして「ぱいどん」の結末と読後感。
 これが最大の違和感なのだが、手塚治虫の作品ってこんな単純なハッピーエンドの作品ってほぼ無いのではないかと思う。
 手塚の作品にハッピーエンドの作品がもしあっても、それはいかにも手塚らしい奇妙な紆余曲折があり、ハッピーエンドなのになぜかドロドロした読後感が漂うような、そんな作品こそが手塚の作品だと私は思っている。
 ハッピーエンドの作品でさえもそんな読後感なのだから、手塚独特のハッピーエンドではない作品の読後感は、それはもうエグイものがあった。

 私は初めて読んだ漫画は手塚治虫だったし、父が手塚ファンで手塚作品を小学生のころ買い与えてくれたので何度も読み返していた。

 私がその当時読んだものは手塚作品でも子供向けのものに限定された作品集で、有名な「鉄腕アトム」や「ジャングル大帝」「リボンの騎士」以外には、「ボンゴ・ロップくん」や「オズマ隊長」や「ガムガムパンチ」などファン以外の一般人は知らない作品も多かった。

 さて、小学生だった私がそれらの手塚作品を読んで思ったこと。それは「なんだか気持ち悪い・・・」だった。
 大人になった今の言葉で表現するなら「読後感が非常に悪い」「読んだ後、いやな気分になる」となるだろう。

 手塚治虫の作品の本質は、読んだ者にこの「読後感の悪さ」を与える独特の手塚思想が反映されたストーリー展開と結末ではないかと思う。

 さて、話を「ぱいどん」の感想に戻すとして、「ぱいどん」には読んだ後に手塚らしいドロドロとしたイヤ〜な気分にさせてくれる「何か」が何も無かった。
 そこが本物の手塚作品とAIによって真似された作品との決定的な違いだと思う。

 漫画に限らず、小説でもアニメでも、「作者の価値観」というものが大なり小なり作品に反映されるものである。
 手塚作品には特にそれが顕著に現われていると思う。

 しかるに、「ぱいどん」にはそれがほとんど感じなかった。
 まあ、「科学技術の負の側面を描く」だとか「登場人物の葛藤」とかは「ぱいどん」に描かれていたが、本物の手塚作品はそんなものではないんだよ。
 手塚本人はきっと意識して描いていたわけではないと思うが、手塚が漫画を描くとそこには必ずドロドロしたネットリした人間というもののイヤな部分・性(さが)がにじみ出てしまうのだ。
 「ぱいどん」にはそれがほぼ無い。

 なのでもう一度私の感想を。

 「ぱいどん」は「手塚治虫の絵柄や特徴を真似た、全くの別人が描いた漫画」だと感じる。

最後に


 あくまでも私の感想なので、「ぱいどん」を読んだ人によって感想は全然違ってくると思う。

 あと、私は別に手塚治虫さんの作品が嫌いなわけではない。それどころか「手塚治虫はほんとにすごいな・・・」と今でも感嘆しているくらいである。

 ただ、手塚作品を読んだ後の読後感に私は悪酔いしてしまうというだけで、手塚治虫先生は本当に偉大な人物であることはきちんとわかっている。

 以上。

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posted by ホクホク at 22:59| 漫画・アニメ・小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする



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